重要文化財に指定されている若戸大橋(提供:北九州市)
1962年の開通から60年以上。北九州市の若戸大橋は、街の風景にすっかり溶け込みながらも、いまなお強い存在感を放っている。かつて「東洋一」と称された長大吊り橋は、日本の橋梁技術の礎として評価され、2022年には国の重要文化財に指定された。
その象徴といえば、やはり鮮烈な赤だ。1959年、技術審議会の審美委員会で議論が重ねられ、最終的に選ばれたのは「偉容を際立たせる色」「工業都市の躍動を象徴する色」「エネルギーと情熱の色」としての赤だった。当時の北九州の勢いを連想させる。
もっとも、赤は退色しやすい。現在進められている塗り替え工事では、耐候性に優れた塗料が採用され、今後も慎重に経過を見守るという。
では、思い切って別の色に塗り替える可能性はあるのか。市の答えは明快だ。「若戸大橋といえば赤」という市民の認識は揺るぎなく、色の変更は理解を得られないだろうという。加えて、重要文化財である以上、現状変更には文化庁の許可が必要だが、別色への塗り替えはまず認められないと見られている。
北九州市では夜景観光資源として、2018年に若戸大橋のライトアップを開始。漆黒の海に浮かぶ赤い橋は目を引き、2022年に日本夜景遺産に認定されている。
赤い橋は今日も、街の営みを静かに見守っている。補修工事が進む今も、その姿は変わらず北九州市の象徴だ。これからも長く、あの赤が市民の記憶とともにあり続けることだろう。
なお、同橋の吊橋部補修工事では、日本ペイントのさび面対応弱溶剤形高遮断性変性エポキシ樹脂下塗り塗料「ダンジオーラE下塗」が採用されている。