塗料営業部員の反省会 第一回:真夏の水性硬質ウレタン塗床に気を付けろ!
2026/05/27金森産業工業材料部
お客様の最も身近な塗料の専門家になることを目指し日々精進しております。塗料に関するアレコレ、なんでもお気軽にお問合せ下さい。
お客様の最も身近な塗料の専門家になることを目指し日々精進しております。塗料に関するアレコレ、なんでもお気軽にお問合せ下さい。
こんにちは。COATAZ編集部です。
COATAZは現役営業部員が運営しているオウンドメディア。取り扱っているメイン商材は塗料を始めとする塗装用品です。日々塗料を扱う中で、あんな失敗、こんなトラブルが日々発生しています。
そこで実際に起きたトラブル事例をご紹介!不定期で連載していきます。読者の皆さんは、ぜひ同じ失敗を繰り返さぬよう、ぜひ業務に生かしていただければ幸いです。
第一回は、水性硬質ウレタン塗床の失敗事例です。
今回お客様からオーダー頂いたのは、特別なお客様をお迎えするため、工場のメイン通路の塗床をピカピカに塗り直したいというご依頼。工場の床ですので高耐久が求められます。そこで、今回は工期の兼ね合いもあり水性硬質ウレタン塗床を選定しました。
水性硬質ウレタン塗床材の特徴は、優れた耐久性、耐薬品性、耐熱性を持つ塗膜で、かつ低臭・低VOC・速乾性に優れています。主な用途としては強度が求められる工場、耐熱性が求められる厨房などでよく使用されています。
優れた性能がある一方で、施工が難しいという懸念点があります。
水性硬質ウレタン塗床材は通常の塗料とは異なり、コテ塗りでの施工です。
2液型の塗料を混合・攪拌したあとすぐ床に撒き、職人さんが一気に平滑にしていかなくてはなりません。塗装というよりは左官仕上げのようなイメージです。また、気温・湿度管理がシビアで、一般的に気温:10~30℃、湿度:80%以下が適正とされています。
また、責任施工と言うくくりの商品設定の塗料のため、こうした特殊な塗床に慣れている塗床専門施工店さんに施工をお願いしました。
今回は工場が稼働しているため、施工できるのは土日のみ。範囲が広いため、工区を2つに分け、4週に渡って作業をすることになりました。季節は夏です。さぁ、無事に施工は完了するでしょうか?
夜間作業にて下地処理、下塗り段階までは順調に施工できていたのですが、トラブルは翌週の上塗り施工の時に発生したのです。
夏場ということもあり、「注意して施工をしていこう」と注意喚起をして上塗り施工をスタートしました。しかし、施工を進めていくと、塗ったそばから硬化していまい、気泡や色ムラが発生。ですが、多少であれば硬化するにつれて収まっていくだろうと楽観的に考え、そのまま施工を続行しました。
その結果……。
急激な表面乾燥による気泡
色ムラ
攪拌不足による色の違い
硬化後も状況は改善せず、散々な仕上がりとなってしまいました。当然お客様からも承認は頂けず、再度表面を研磨して再施工することとなりました。
なぜ、こんなことが起きてしまったのか。主な原因は温度管理です。当日、施工開始時の気温は27℃。水性硬質ウレタン塗床材の施工温度は10℃~30℃なので範囲内です。しかし季節は夏。日が高くなるにつれて気温が上がり、終了時は33℃に達していたのです。
そのため想定より早く硬化が始まってしまい、こうした塗装不良が多数発生してしまったというわけです。
二度の失敗は許されません。二工区の作業と同時に、失敗した一工区の改修作業を進めます。今回はお客様にもご協力を仰ぎ、作業開始前から空調を稼働させて温度・湿度共に一定になるように作業環境を整えました。
まずは一度塗床した部位を、ライナックス研磨機を用いてダイヤモンドサンダーで全面研磨します。
続いて、攪拌時間もストップウォッチを用いて厳密に管理。そして塗床作業も滞りなく進みました。その結果はこちらです。
色ムラ、発泡もないキレイな仕上がりです。お客様にもご満足いただけました。
一時はどうなることかと肝を冷やしましたが、最終的には非常にお客様にも喜ばれた施工現場となりました。
水性硬質ウレタン塗床材はたった数度の差でも仕上がりに差が出てきてしまいます。作業時間が限られていたこと、真夏であったこと。そして水性硬質ウレタン塗床材は半ツヤ程度のものが多く、特殊な塗床に慣れているはずの施工店でも、艶有りタイプの施工実績はあまり例がないということも関係していたと思います。
さまざまな要因が重なった結果、今回のような失敗が発生してしまいました。水性硬質ウレタン塗床材は特に作業環境作りが重要と言うことを痛感させられました。皆さんも塗装の際は、塗床塗装に限らず作業環境が適切かどうかのご確認をお忘れなく。
不安な場合はぜひCOATAZ編集部にお尋ねください!
今回の担当者は営業歴30年余りのベテラン営業マンで、数多くの現場を経験しています。
その彼ですら予想していなかった事態が発生してしまいました。
本件はレアケースだったかもしれませんが、施工不良となればお客様や施工業者様に多大な影響を及ぼしてしまいます。
是非とも、我々の失敗を教訓として健全な施工にお役立ていただけたら幸いです。
本記事に関するご質問・ご相談を受け付けております。 お問合せフォームよりお問い合わせください。