日本塗料工業会の調査によると、高日射反射率塗料(遮熱塗料)の2024年度出荷量は、全体として堅調な推移を見せた。中でも建築用は対前年比で約5%増と伸長し、建築用塗料全体の出荷量が減少傾向にある中、存在感を高めている。 一方、道路用は東京五輪関連需要の反動によりその後は低調な推移が続いており、用途別で明暗が分かれる結果となった。
遮熱塗料は屋根・外壁分野を中心に市場として定着しており、建築用途では標準機能の一つとして一般化されてきた。とりわけ近年は、猛暑の常態化や電力コストの上昇を背景に、工場や倉庫、商業施設など非住宅分野での採用が進展している。暑熱対策にとどまらず、職場環境の改善や設備負荷の低減といった観点での評価も高まり、導入の広がりを後押しする。
住宅分野においても、リフォーム市場では、省エネ性能や居住快適性の向上が重視される中で、遮熱機能は付加価値として広く認識され、安定した需要の下支えとなっている。日塗工担当者は「建築用途における遮熱塗料は現状維持から微増の傾向にあり、今後のさらなる普及に期待している」としており、市場は成熟と拡大が並行する局面にあるといえる。
日塗工が遮熱塗料(屋根用)自主管理として登録した商品リストは、2025年12月時点で17社36商品836件(色)となり、商品数は横ばいながら色数が増加。一方、遮熱性能の規格については、補助金申請で実質的に求められるJIS K 5602へ回帰する動きも見られる。
製品面では、遮熱性能に加え、耐候性や低汚染性、防水性など複合機能として売り出している。ユーザー側の要求水準が高まる中、単機能ではなく、長期耐久性やメンテナンス性を含めたトータル性能が重視される傾向が強まっているからだ。断熱性能との組み合わせや施工性向上など、用途や現場ニーズに応じた提案も広がりを見せる。
こうした中、遮熱塗料は単なる暑熱対策資材の枠を超え、建物の環境性能向上や省エネを牽引するソリューションとしての役割が期待されている。建築分野を中心とした堅調な需要を背景に、今後は法人需要のさらなる掘り起こしや、高付加価値化による市場の深化が求められる。
そのためには、遮熱・断熱技術の継続的な進化とともに、脱炭素社会の実現に寄与する数値に基づくエビデンス(定量的な効果)の説得力を高めていく必要性が増すだろう。