「下水道管路マネジメントシステムの共同研究に関する協定」の締結式
埼玉県と埼玉県下水道公社、およびNTT東日本を代表とする民間企業6社は3月10日、下水道管路維持管理における「工程一体化DXモデル」の構築に向けた共同研究協定を締結した。これは、埼玉県が「埼玉県下水道管路マネジメントシステムの共同研究」を公募し、共同体を選定したもので、同協定により点検・調査から解析、補修、情報管理までを一気通貫でデジタル化し、早期発見・予防保全を実現する全国に先駆けたモデルの検証を開始する。
現在、下水道管路の維持管理は、点検・調査、解析、補修、情報管理といった各工程が分断されており、情報の連携がスムーズに行かないことが大きな課題となっている。また、管路内は硫化水素の発生や流量の多い危険を伴う箇所での作業が多く、人依存の作業工程が異常の早期発見や効率的な予防保全を妨げる要因となっていた。加えて技術者不足も課題になっている。
同研究は、これらの課題を解決するため、最新のデジタル技術と施工技術を融合させる。ドローンによる点検やAI解析、3Dデータによる可視化、そして高度な補修技術を組み合わせることで、安全かつ効率的な次世代型の維持管理体制の確立を目指す。
埼玉県では、八潮市道路陥没事故が昨年1月に発生。主な原因として下水道管路の破損とされ、地域の安全・安心に対する不安が高まっていた。埼玉県の大野元裕知事は「大規模な事故が起きた県という責任においても、共同研究の実証フィールドにしてもらい、安全を確立して欲しい」と、述べた。
プロジェクトの対象は流量が多い大規模の下水道管が対象となり、埼玉県だけでも約155㎞ある。そこから、実証箇所を決定していく。
補修材料分野では、染めQテクノロジィが参画。
補修工程における中核的な役割を担う。同社は「特殊塗料による既設下水道管路の修復強靭化技術を用いた再生延命と、短期施工・省人化・無人化補修プロセス」の検討・実証を担当する。密着力が強い補修材料を既に他分野では供給しているが、同社は下水道への市場参入は1年半程度。下水道管路特有の腐食環境に対し、同社の技術を適用することで、施設の長寿命化(再生延命)を図る。
さらに、従来の手作業に頼っていた補修工程を、特殊塗料と施工機械を組み合わせることで簡略化。施工時間の短縮(短期施工)だけでなく、将来的な無人化補修を見据えたプロセスの構築に挑む。危険な環境下での作業員負担を大幅に軽減し、人手不足解消と安全性の飛躍的向上に貢献する狙いだ。
共同研究の期間は2026年3月10日から2027年度末までを予定。
共同研究で構築される「工程一体化DXモデル」は、自治体の維持管理業務を劇的に効率化させる可能性を秘めており、将来的な全国の地方公共団体への展開も視野に入れていく方針。今回はNTT東日本が全体の統括を担い、各地域への展開では、別な枠組みも検討されるとのこと。
※協定締結者=埼玉県、埼玉県下水道公社、NTT東日本、NTT e-Drone Technology、NTTインフラネット、国際航業、染めQテクノロジィ、日特建設