自補修では「塗装ムラ」の判断が重要
大阪産業大学は、このほど自動車塗装検査のスキル向上を目的とした「拡張現実(AR)トレーニングのアプリ」についての研究を発表した。
自動車修理では塗装仕上げ品質の正確な評価が不可欠であるが、同研究ではその対策として目視検査作業をシミュレートするARアプリの試作開発を行ってきた。
メタリック車における「塗装ムラ」の目視検査では、光源の方向と観察角度の両方を慎重に考慮する必要がある。ムラの特定は初心者にとって大きな課題であり、通常は豊富な経験が必要である。さらに、ムラの視認性は光源の種類、入射角、視野角に大きく依存するため、写真や動画でムラを正確に捉えることは困難である。そのため、直接目視検査が最も効果的な検出方法だと考えられると判断した。
デジタル情報を現実世界の画像に重ね合わせる拡張現実(AR)技術は、技術訓練のための有望なソリューションであると考えた。AR技術と車両の3Dモデルを活用することで、塗装ムラをシミュレートすることが可能になり、このようなシミュレーションを組み込んだARアプリケーションは、ユーザーが時間や場所を問わず塗装検査技術を練習できるアクセスしやすいプラットフォームとして提供できるという仮説を立てた。
研究の結果、自動車修理における塗装検査のトレーニングを目的としたARアプリケーション「Repair Paint Checker(リペアペイントチェッカー)」を開発した。ゲームプレイのパフォーマンスとユーザーフィードバックを通じて、熟練者と非熟練者の明確な差異が明らかとなった。熟練者は豊富な経験を活かし、塗装欠陥を正確に特定し、初回でゲームトライアルを完了した。一方、非熟練者は徐々に改善を示し、10回目以降はパフォーマンスの向上が顕著となった。
画面録画では、行動の違いが明確に示された。熟練者は一貫してドアパネル全体を観察し、難しい欠陥を見つけるために視野角を体系的に変更した。一方、非熟練者は当初、クローズアップや正面からの観察に頼っていたが、徐々に広い視点を取り入れるようになった。
これらの結果を総合すると、開発されたARアプリは、自動車塗装の欠陥を特定するための初心者整備士のトレーニングツールとしての可能性を示唆しているとのことである。
現在、「Repair Paint Checker」の使用感調査への参加者を募集中である。
連絡先:情報デザイン学部 情報システム学科 高井准教授
℡072・875・3001