局部腐食が起こりやすい場所として不純物介在物、偏析、表面酸化膜の不均一性などがあります。なお、不純物介在物や偏析などは腐食以外でも疲労破壊などでも問題としてよく取り上げられます。腐食において不純物介在物や偏析は局部アノードと局部カソードを形成しやすくなり、最初の腐食のきっかけとなります。局部アノードと局部カソードが形成されると表面上で電位の差が生じます。これは腐食電池とも呼ばれます。
しかし、腐食電池は局部腐食だけではなく全面腐食の最初のきっかけでも起こります。両者の違いとして酸化皮膜の影響があります。たとえば通常の鉄鋼の場合、表面のどこかで腐食電池が形成されても、時間が経過すると別の場所でも腐食電池が形成されて次第に表面全体に腐食電池が広がり、最終的に全面腐食となります。しかし、ステンレス鋼のように腐食に強い酸化膜(不動態皮膜)を持つ金属材料では、表面のどこかで腐食電池が形成されて腐食が起きても、他の場所は腐食に強い酸化膜におおわれているので非常に腐食されにくいです。そのため、図1のように局部アノードと局部カソードが同じ場所でとどまります。これが局部腐食となっていきます。
局部アノードと局部カソードが同じ場所で腐食され続けると、一見あまり腐食されていないように見えても、ある場所では集中的に腐食されてしまい穴が開いてしまう可能性があります。たとえ1カ所でも穴が開いてしまうと水漏れや油漏れなどの漏えいが発生したり、穴に応力が集中してさらに大きな割れなどが起こる危険性があります。
このような腐食過程のため、局部腐食は全面腐食のように板厚減少量を考慮して板厚を厚めに設計することも困難です。また、局部腐食はどこに発生するのか予想することが難しく、気が付いたときには重大な損害となっていることもあります。
具体的な局部腐食について下記にいくつか簡単に示します。
(1)異種金属接触腐食
イオン化傾向の異なる金属を接触させたときに、イオン化傾向の大きい金属の方が優先的に腐食される腐食です。たとえば銅と鉄であれば鉄の方がイオン化傾向が大きいので、鉄が腐食されます。しかし、鉄と亜鉛との組み合わせでは亜鉛の方が鉄よりイオン化傾向が大きいので、そのときは亜鉛が腐食されます。
金属のイオン化傾向は材料や合金の種類によって変わるので、異なる材料を組み合わせて使用するときに起こりやすい腐食です。
(2)酸素濃淡腐食
船の外板のように、1枚の金属板が水中に部分的に浸っているようなときに起こる腐食です。水中に浸っている場所と、水中に浸っていない空気中では、それぞれ酸素量が変わります。このときに酸素の少ない方(この場合水中に浸っている部分)が腐食される現象です。酸素濃淡腐食は水以外では土の中の配管などにも起こりやすい腐食です。土は見た目上どこも同じに見えますが、粘土のような水はけの悪い土もあれば、砂場のような通気性のある土もあります。このような土質の違いが酸素量に影響して酸素濃淡腐食が起こります。
(3)孔食
表面のある1カ所が集中的に腐食する現象です。ステンレス鋼のように不動態皮膜を持つ金属に起こりやすい腐食です。不動態皮膜は腐食に強い膜ですが、塩化物イオンには弱く、腐食されてしまいます。塩化物イオンは食塩や海水の塩分などに含まれている比較的身近な物質です。最初に腐食が始まった場所で穴を掘るように腐食が進みます。孔食はステンレス鋼以外にもアルミニウム合金などでも起きます。
(4)すき間腐食
小さなすき間は水がたまりやすく、1度水が入り込むと乾きにくいです。たとえ製品全体が水に浸っていても、すき間の中と外で水の流れが十分に行われないと、すき間の酸素量が低下します。その結果、すき間から腐食されていきます。小さなすき間はいろいろな製品や部品に見られますが、1mm以下のすき間になると、すき間とまわりの水と流れができにくくなるので、すき間腐食が起こりやすくなります。
(3)脱成分腐食
金属材料の多くは単独の純金属よりもいろいろな元素を添加した合金です。このときに特定の合金成分だけが腐食して溶解する現象です。その結果、残った材料はスポンジのようにすき間だらけになり、強度が下がり割れやすくなります。脱成分腐食としては黄銅の亜鉛成分が腐食する脱亜鉛腐食があります。