アロンウオールTechnical Report 阪神大震災の調査結果
2024/08/30金森産業工業材料部
お客様の最も身近な塗料の専門家になることを目指し日々精進しております。塗料に関するアレコレ、なんでもお気軽にお問合せ下さい。
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1995年1月17日午前5時46分、淡路島北端を震源とするマグニチュード7.2の巨大地震は神戸を中心とした大都市を直撃し、死者は5400人を越え、被害額が10兆円を上回る 「阪神大震災」を引き起こした。この地震で気象庁も初めて「震度7」を判定した。
倒壊家屋・ビルの惨状や火災の状況が連日テレビ放映され国民に多大な衝撃を与えた。脆弱さが露呈した都市ライフライン、高速道路や鉄道の高架橋の倒壊など、建設技術者に与えた衝撃も大きく、建設に関する様々な基準見直しの機運が高まりを見せている。
この様な状況の中で、全国アロンコート・アロンウォール防水工事業共同組合 (以下、全アロン防水組合) 64回理事会の審議事項の結果、服部理事長から技術委員長に対して、阪神大震災によるアロンウォールの被災状況を調査するように指示があり、「全アロン防水組合・技術委員会・特別調査団」が結成され、3月29日~30日にかけて防水・仕上の見地から調査を実施した。調査団メンバーを表1に示す。
ここでは、そこでの調査結果を報告する。
専門家の調査によれば全壊した建物が集中する地区は、西は神戸市須磨区から、東は芦屋、西宮市まで途切れることなく細い帯の様に続いている。その状況を図1に示す。
この原因は現在まだ不明であるらしいが、今回の調査箇所をこの図の中にプロットした。調査前はこの状況はよくわからなかったが、今回の調査物件はこの集中的な地区とほぼラップしていることがわかる。
アロンウォールを施工した物件の外観を写真-1~6に示す。地震によりひびわれの発生した部分もあったが、概ねは健全な状態であった。
(1)剝落防止効果
写真-7は鉄骨造のモルタル外壁にアロンウォールを施工し、施工後8年経過している。外壁はセンチメートルレベルのひびわれが多数発生している。ここまで広いひびわれにはアロンウォールは追従できないが、特筆すべきは外壁モルタルの剥落を防止している点である。この物件の外壁モルタルの厚みは約30mmであった。部分的に剥落はあるものの極一部であり、写真-8などその他の建築物の外壁モルタルの剥落に比べると、剥落の程度が非常に軽微であると思われる。
アロンウォールが施工後8年経過しても柔軟性があり、かつ十分な強度を保持していることの現れであろう。
別の物件で非塗装、硬質塗料、アロンウォールの3つのケースが存在するPC外壁を調査した。結果を図2に示すが、非塗装、硬質塗料では、コンクリートに大きなひびわれが発生し今にも剥落しそうである。アロンウォールはシーリング部に若干の割れがみられるものの、コンクリートにひびわれは見られず、コンクリートの破壊を防止し、剥落防止効果が表れていると思われる。
(2)外壁の軀体保護効果
築後30年、アロンウォールで改修して12年のRC造のビルを調査した(写真-9)。ビルのオーナーは「築後30年経ちますが、今回の震災に耐えてくれました。12年前にアロンウォールを施工し、軀体の劣化を防止したためだと思っています」との弁。
実際に隣のビルは全壊しており、差は歴然であった。写真-10に示すように、当ビルの被害も、隣のビルが倒れてきたことによるものである。
阪神大震災にあたっては、コンクリート建造物の早期劣化について警告しているものもある。図―2は千葉工業大学の小林先生の記事の抜粋だが、(中日新聞1995.3.14)アルカリ骨材反応によるコンクリート構造物の耐久低下に触れ、対策につき警告を発している。建造物の外壁・屋上防水でもコンクリート構造物の早期劣化防止効果の検証が今後益々重要になるものと思われる。
外壁防水 (アロンウォール)の見地からは宮城県沖地震、三陸はるか沖地震などで上記と同様な効果を確認しているが、屋上防水では過去の調査例がない。今回、アロンコートSQの状況を調査することができた。調査団に加わって戴いた岩井次長(鹿島建設(株))も、「屋上の塗膜防水の現状を見れたのは有意義である」と話している。
写真-11の建屋は、神戸市灘区の海に面した倉庫の屋上で対岸はポートアイランドである。今回の地震で周囲に地盤沈下が発生している(写真-12)。本物件は外壁にアロンウォール、屋上にアロンコートSQを施工して約5年経過している。屋上、外壁双方とも健全であり、施工した業者の話しによると施主は大変喜んでいるとのことで、「メーカーをつれてきてこの状況を見せてあげなさい」と言われたそうである。
写真-13はクレーンが設置されている屋上棟屋の状況である。地震でクレーンは相当揺れたと思われ、棟屋外壁にはクラックが発生している。アロンウォール塗膜はひびわれに追従しており、施工後5年経過してもひびわれ追従性を維持していることを示している。
今回、震災の影響を調査する貴重な機会を得、前述のレポートをまとめさせて戴いた。 しかしながら、実際の調査において最も印象に残っているのは、被災した方たちの状況である。避難所生活は常人の日常では想像できないほど苦しく、不安であろうと感じる。被災者に心からお見舞い申し上げたい。我々は、微力ながら地震国日本において外壁・屋上の防水になにが必要かを常に考え、人々の役に立つ商品を作り上げていきたい。
以上
参考文献
1) 「阪神大震災 その時企業は」 (日本経済新聞者)
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