真空成形により塗料層を転写した例
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは5月21日、自動車塗装工程でのCO2削減に貢献可能な「塗料転写シート」を開発したと、発表した。
塗料転写シートの特長は、同社の独自技術で膜化した塗料(塗料層)を転写フィルムと支持フィルムで挟む構成となる。塗料層の厚みは通常塗装と同じ数十μm。ロール状態で保管可能で、塗料層にはさまざまな塗料が適用可能である。開発時点では同社が塗料を準備しているが、生産段階に進めば既存の塗料を使用することも可能だと言う。フィルムではなく塗料を転写するという新しい塗装方法の提案のため、自動車補修においても既存の補修方法と変わらないことになる。
塗料転写シート開発の背景は、自動車の製造工程におけるCO2排出量の削減にある。同社では長年にわたりテープ製造技術や素材配合技術を培ってきたが、これらの技術を応用して塗料をシート化し、塗装ブースを設けずとも塗料を転写させることで、塗装を実現する技術を開発した。この技術は、塗装の品質を保ちつつカーボンニュートラルの実現に向けた解決策の一つになると同社は期待している。
同技術の用途として、ツートンカラー車に塗料転写シートを採用すれば、2色目としてルーフに適用することで、CO2排出量をおおよそ半減させることが可能となると言う。さらに、マルチトーンや個性的な意匠性のあるデザインでは、削減率はより高くなる。現状材料費はコスト高となるが、塗装ブースを使用しないことでトータルコストがどこまで削減できるか今後検討するとのことだ。
塗料転写シートは2026年の上市を計画。現在、量産技術および貼付け技術の確立に向けた取組みを行っている。また、低温硬化技術の設計を進め、より耐熱性の低い樹脂製被塗物にも塗装対象を広げ、自動車製造におけるCO2削減という社会課題の解決を図っていく。
担当者は「自動車外板塗装のカラーデザインのことを考慮すれば、塗料メーカーから塗料の供給を受け塗料のシート化と言うことも考えられる。また、自動車塗装だけではなく、自動車部品等幅広く応用が効く技術だと考えている」と話す。