色彩検定一級ライター直伝!色彩センスアップ講座 ⑤基本の配色理論を知ってイメージをつくる
配色とは2色以上の色を組み合わせることをいいます。色を組み合わせることで、1色のときとは違う別の印象を与えることができます。「配色はセンスがないと難しい」と思う方もいるかもしれませんが、実は配色にはルールがあり、知っておくと客観的な基準に基づいて配色を作ることができるようになります。今回は基本的な配色理論について説明していきます。
まず、配色のルールを知る前に、色の三属性を知っておきましょう。色の三属性とは、色を表すために必要な、色が持つ3つの性質のことです。1つ目は赤、青、黄といった色みのことを表す「色相」、2つ目は明るさを示す「明度」、3つ目は鮮やかさを示す「彩度」です。
「色相」「明度」「彩度」を用いることで、色を表すことができます。たとえば、色相が赤、明度が高く(明るい)、彩度が低い(くすんでいる)色であればサーモンピンクの色になります。
配色理論は、組み合わせる色の属性同士が同一かまたはどれだけ離れているかによって決まります。色相同士の距離(=色相差)でみる配色理論と、明度と彩度の基準(=トーン)でみる配色理論があります。それでは詳しくみていきましょう。
色相による配色理論
先述の通り、色相は赤や青、黄など色みを表す性質のことです。色相による配色理論とは、組み合わせる色の色相差によって配色を考える方法です。1から24の色相番号が付けられた色相が円形に並べられた色相環を用いて色相差を出していきます。
同一色相配色
同じ色相同士の組み合わせです。同一色相配色は最もまとまりが強く感じられる配色です。赤のみ、黄のみ、青のみといった同系色の配色になるため、統一感のある配色になります。
隣接色相配色
色相環で隣りあう色同士の組み合わせです。色相に共通性があるので、統一感やまとまり感が感じられます。
類似色相配色
色相が似た色同士の組み合わせです。色相環では、色相差が2または3離れたものになります。少し色相の変化が感じられますが、色みに共通性が感じられるので、まとまりやすい配色です。
中差色相配色
色相にやや違いがある組み合わせです。色相環では、色相差が4~7離れたものになります。色みの変化が感じられる配色です。
対照色相配色
色相に大きな変化のある組み合わせです。色相環では、色相差が8~10離れた配色です。色相どうしに対照的なメリハリ感が出て、変化の大きい配色となります。
補色色相配色
色相環で反対の位置にある色同士の組み合わせです。色相による配色のなかでも最も対照的な配色で変化が強く、特に鮮やかな色の補色の組み合わせは、派手で力強い印象の配色になります。
トーンによる配色理論
トーンによる配色では、以下のトーン図における距離関係を手がかりに組み合わせを考えます。
同一トーン配色
トーンが同じ色同士の組み合わせです。多色使いしてもトーンが共通なので、まとまった印象を与えます。また、「かわいい」「明るい」といったトーンが持つイメージがそのまま反映されやすい配色です。
類似トーン配色
トーンが隣り合う位置同士の組み合わせです。明度差や彩度差が比較的小さいため、まとまりやすい配色です。トーン同士のイメージを補完し合うことで、「優しく澄んだ」などより印象に発展性を持たせることができます。
対照トーン配色
距離が大きく離れたトーンの組み合わせです。明度差、彩度差が大きいことから、コントラストを与える意味で用いられることが多いです。まとまり感かメリハリ感かというイメージの演出は色相によって表す必要があります。
今回は基本となる色相とトーンによる配色理論を説明しました。色相差やトーンの差によって、与える印象を調整することができます。見せたい印象を的確に伝えるために、配色理論を使って作れるようになりましょう。
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山崎志織
フリーライター。京都の大学卒業後、銀行、食品会社の販促企画・制作を経てライターへ。色によって人の心や行動が促される色彩心理が強く印象に残り、大学在学中に色彩検定1級を取得。その後カラースクールと出会い、幅広い分野の色彩知識や実践的な提案力を習得するなかで、色彩の言語表現に関心をもつ。現在は、色彩コラムや企業のブランディングに関わる記事執筆を手掛けているほか、カラースクールのアンバサダーを務めるなど、本質的な色の学びを普及する活動を行っている。