2023年10月4日から6日、幕張メッセにおいて開催された第14回高機能素材Week。その中における塗料・塗装設備展コーティングジャパンにて、トリニティ工業株式会社は最新塗装機の展示を行った。
最新塗装機ix塗装機は、近年の製造業において特に注目されているカーボンニュートラルへの対応、すなわちCO2排出量の低減を目指して開発された。自動車などの製造工程において、塗装工程が環境へ与える影響は少なくない。そこで同社は、塗着効率を画期的に向上させたiX塗装機をトヨタ自動車様と共同で開発した。
被塗物から100㎜という近距離で吹き付け、静電気力を最大限に活用することで塗着効率95%を達成し、塗料のムダを失くすことに成功した。従来品の塗着効率が60~70%であることを考えると、圧倒的な塗着効率だ。原材費を従来比15%以上低減することが可能となり、コスト削減、環境への配慮にも貢献できる。
iX塗装機は、シェーピングエアを使用せず塗料を微粒化させ、飛行、塗着させることが特徴だ。その秘訣は静電気力と円筒型回転ヘッドにある。その回転ヘッドには特殊な溝を多数配置し、回転力を加えて塗料を円周上に放出することで均一な微粒化させることができるという。
通常、塗装機の高電圧制御は印加電圧を一定に制御する方式だが、近距離で吹き付けを可能にするため、新たに電流を高精度に一定に制御する定電流制御方式を開発。超高塗着の実現とともに塗装機と被塗物とのスパークを防ぎ、塗装ラインの火災予防につなげている。
iX塗装機を導入することで、CO2排出量が7%程度削減を実現している。塗装機に加え、ブースなどの設備を含めて導入することで、より大きな削減効果が期待できる。塗装ブースの場合、ブース風速の低減も見込め、さらに段ボールフィルターを用いることで排水設備も不要となるためコンパクトな設計が可能だ。塗着効率が良く塗料の飛散が少ないため汚れも少なく、メンテナンスコストも下げることができる。
CO2削減だけでなく、より環境へ配慮した塗装ブースを提供している。
導入に際し、基本はロボットを前提とした導入だが、既にロボット導入がされているユーザーならば塗装機交換、塗装システム関係の一部の設備改造や更新で対応することができ、導入のハードルが低いことも魅力だ。
省人化という観点から今後はロボット塗装機の導入が進むことを想定し、ロボットのティーチングをより簡単に、誰にでも行えるようなシステムを開発中だという。
金属はもちろん、導電性付与がされたプラスチックにも塗装が可能だ。すでに樹脂バンパー、スポイラーなどに適応可能であることが確認されている。現在は自動車への塗装がメインだが、自動車以外への営業の幅を広げるべく活動中だ。
トリニティ工業株式会社は、さらに水性塗料対応の塗装機の展示も行っている。溶剤を使用しないことからVOC低減が可能となる。
従来では、水性塗料は抵抗値が低く、静電塗装に向かないという課題があった。しかしボルテージブロック方式(カートリッジ方式)にすることで、塗料経路を絶縁。これによって電気をリークすることなく溶剤塗料と同様の静電塗装が可能となった。
外部電極がないため塗装機もコンパクト化されている。カートリッジ式のため最大21色のカートリッジを交換し搭載することができ、カートリッジは透明化されており塗料の状態も見えやすい工夫が施されている。
トリニティ工業株式会社では、時代の流れを読み、塗装に関わる課題点、懸念を解消する技術を生み出し続けている。現状では自動車製造分野での導入がメインとなっているが、
今後は自動車以外の対応も増やしていきたい考えだ。今後の展開により期待したい。