買収先の概要
インド・建築用塗料市場構成(地域別)
日本ペイントホールディングスは8月29日、インドの塗料メーカーであるNippon Paint (India) Private Limited(NPI)およびBerger Nippon Paint Automotive Coatings Private Limited(BNPA)の株式を取得、子会社化した。取得に当たっては、NPIの株式は日本ペイントホールディングスが、BNPAの株式は日本ペイント・オートモーティブコーティングスが取得する。NPIとBNPAは2021年8月にウットラムグループに譲渡したものだが、今回その買い戻しを決定したものである。
インドにおいて、NPIは建築用塗料・工業用塗料・自動車補修用塗料事業を、BNPAは自動車用塗料事業を担っている。2021年当時、既存競合の存在や新興競合の出現、コロナの影響、原材料価格の高騰等から、NPIとBNPAを日本ペイントホールディングスが買い戻す権利(コールオプション)を残してウットラムグループへ株式を譲渡した。これにより、短期的な再建にかかる追加投資・費用や、再建の不確実性をウットラムグループが負い、リスクの軽減を図っていた。
その後NPIは、インド市場におけるコロナ禍からの回復に加え、建築用塗料事業において、特にインド南部のタミルナドゥ州・カルナータカ州でのマーケティング効果により市場シェアを拡大。工業用塗料事業でも新規案件の複数獲得、自補修事業における市場の回復や追加買収などが奏功し、株式譲渡時の想定を上回るスピードで回復と高い成長を果たした。
BNPAについては、経営体制の変更、システム統合を含めたNPIとの一体運営、調達・製造コストの見直しによる低減、原材料価格の高騰などに対応した製品値上げを実施。インド自動車市場の回復などにより、株式譲渡時の想定よりも早い2022年度に黒字転換し、今年度以降も高い成長を見込んでいる。
この結果を踏まえ、NPIとBNPAは今後、大規模な費用投入がなくとも持続的な成長が実現可能と判断。現時点でコールオプションを行使することがMSV(株主価値最大化)の観点から最善であるとし、買い戻しを決定した。
なお、日本ペイントホールディングスでは、2024年上期中に買収完了を見込んでおり、初年度からEPS(1株当たり純利益)にプラス貢献するとしている。
今後のインド事業について、年成長率プラス15%を見通す。建築用では人口1・4億人を抱えるインド南部2州でシェア1位を獲得するほか、インド各地で塗料周辺分野のシェア拡大を目指す。工業用は東アフリカ市場への輸出のほか、Betek Boya社と共同でトルコや欧州への拡大も視野に入れている。自補修用については、新たなサプライチェーン構築のほか、木工、軽工業、商用車、鉄道などの新分野進出、アフリカ、欧州、中央アジアへの展開を図る。自動車用は年内にシェア3位を目指すほか、既存のOEM事業拡大に加え、EV市場にも注力していく。