山崎志織
フリーライター。京都の大学卒業後、銀行、食品会社の販促企画・制作を経てライターへ。色によって人の心や行動が促される色彩心理が強く印象に残り、大学在学中に色彩検定1級を取得。その後カラースクールと出会い、幅広い分野の色彩知識や実践的な提案力を習得するなかで、色彩の言語表現に関心をもつ。現在は、色彩コラムや企業のブランディングに関わる記事執筆を手掛けているほか、カラースクールのアンバサダーを務めるなど、本質的な色の学びを普及する活動を行っている。
フリーライター。京都の大学卒業後、銀行、食品会社の販促企画・制作を経てライターへ。色によって人の心や行動が促される色彩心理が強く印象に残り、大学在学中に色彩検定1級を取得。その後カラースクールと出会い、幅広い分野の色彩知識や実践的な提案力を習得するなかで、色彩の言語表現に関心をもつ。現在は、色彩コラムや企業のブランディングに関わる記事執筆を手掛けているほか、カラースクールのアンバサダーを務めるなど、本質的な色の学びを普及する活動を行っている。
近年、人や環境などあらゆるものに多様性を認めていこうとする考えが広がっています。その取り組みの1つが「ユニバーサルデザイン」という考え方です。今回は、ユニバーサルデザインの意味や、注目されている「色のユニバーサルデザイン」について、お話ししていきます。
ユニバーサルデザインは、アメリカの建築家であるロナルド・メイス氏によって1980年代に提唱されました。障がい者のためのバリアフリーの概念ではなく、ユニバーサル(=普遍的な、全体の)の名の通り、年齢、性別、文化、身体などの違いに関係なく誰もが利用しやすい、全ての人のためのデザインのことです。
この「デザイン」は、形、環境、サービス、仕組み、社会などを含む広い意味で捉えられます。そのなかでも「色」は、多くの人が視覚情報として受け取るうえ、人間の色の感じ方は非常に豊かなため、その多様性に柔軟に対応する必要があります。このような、色彩の多様性に配慮して、全ての人にとって分かりやすい色彩設計にすることを「カラーユニバーサルデザイン」といいます。
色が違って見える性質は、生まれ持った特別なことではありません。ほとんどの人が加齢によって若いときと比べて色の見え方が変化しています。
特に40代以降になると目のレンズである水晶体が、紫外線により透明から黄色、褐色へと濁っていきます。やがて80代になると茶色になり、まるで茶色のサングラスをかけているようになるのです。全体的に黄み、茶色みがかって見え、青色や黄色が見えにくくなります。日常生活だと、部屋のインテリアが青と黄が認識しづらかったり、料理中のガスコンロの青い火が薄いグレーのように見え、火がついていないように見えたりします。
20歳の見え方(左)と80歳の見え方(右)
出展:色覚研究所
実際には徐々に色の見え方が変化していくので、多くの人が色覚の変化に自覚がありません。公益財団法人色彩検定協会の調査では、高齢者の93%は色の見えづらさに気付くことがなかったと回答していて、ほとんどの高齢者が自分の色覚の変化を自覚していないことが分かっています。
参考:公益財団法人色彩検定協会
思い返してみると、小学生の頃に見上げた青い空は、もっとスッキリと透き通っていたような気がします。人は年を取るにつれて少しずつ色の感じ方が変化していくものだとわかると、色覚の違いについても特別なことではないことが分かります。
続いて、色を識別する細胞が多数派と違うタイプの人が一定数います。かつては色盲・色弱と言われていましたが、現代では「色覚特性」と呼ばれるのが一般的です。
色は外からの光を感じて、光の三原色である赤、緑、青の組み合わせによって感じます。この赤、緑、青それぞれに知覚する視細胞(L、M、S錐体)が存在しますが、どの錐体の感度が低いもしくは機能しないかによって、見え方が変わってきます。
例えば、赤い光を感知するL錐体の感度が低いと赤い色が見えにくくなるので、日常生活だと、信号機の色が認識しづらいなどのケースが出てきます。
この色覚特性も、日本人では男性の20人に1人、女性では500人に1人の割合で色覚特性を持つ人がいると言われているので、それほど珍しくないことが分かります。
出展:カラーユニバーサルデザイン機構
最近では日常のシーンでもカラーユニバーサルデザインを見かけるようになりました。路線図や案内マップ、電光掲示板などの公共交通機関や施設などでは、少しずつ広がっているようです。
出展:福島県
色の被りがないように、点線や直線のデザインを施して違いが分かるようになっています。線路上にコントラストのついた白文字で路線が書かれているので、迷いなく判別できます。
このように誰もが利用しやすいようなデザインを意識するために、気を付けたいポイントは3つあります。
・赤と緑、赤と橙、黄と黄緑など、識別しにくい色を理解し、それらを接して使わない
・色の明るさのコントラストをしっかりと付ける
・色だけに頼らず、文字や記号で強弱をつけて視認性を高める
明るさのコントラストの付け方が難しいと感じたら、「白黒コピーをしたらどう見えるだろう?」と考えると分かりやすいです。白黒にしたときに、どちらも同じ無彩色に見える場合は、明るさが同程度なため、認識しづらい配色になっている可能性があります。白黒にしたときに、色同士がはっきりと分かるような配色がベストです。
多様性が認められるようになった今、身近な製品や建物に、誰もが使いやすいよう、あらゆる人に優しい色のデザインがなされているかもしれません。是非みなさんも身の回りにある色の工夫を見つけてみてください。
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