株式会社中東の小坂社長に聞く(後編) CLTが創る新しい木造建築
2023/02/24金森産業工業材料部
お客様の最も身近な塗料の専門家になることを目指し日々精進しております。塗料に関するアレコレ、なんでもお気軽にお問合せ下さい。
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前編では、集成材についてのお話を伺いました。
後編ではCLTについてお話を伺います。
CLTとは、Cross
Laminated Timberの略称でひき板を繊維方向が直交するように並べ、積層接着した合板のことです。JASでは直交集成板と呼称します。集成材は柱や梁として利用するのに対し、CLTは床や壁など面として力が働く場所に使用されます。
CLTは1995年頃からオーストリアを中心として発展し、ヨーロッパ各国でさまざまな建物に使用されています。日本では2013年12月にJASが制定され、2016年に建築基準法が施行されたことにより一般的に利用されるようになりました。
(桐朋学園)
CLTと集成材は同じ接着剤を使用することができますが、CLTは上下左右長さ方向の六方向から圧力をかけなくてはならず、集成材とはプレス機が異なっています。
そのため、CLTは日本では未だ8工場しか製造できず、中東は北陸中部地方では唯一の工場となっています。
中東で使用しているプレス機は高周波によって接着剤を熱して接着することができ、CLTにも集成材もプレスすることができます。これは当時日本にはまだなかったため、メーカーと共同開発し、日本では中東が初めて導入しました。
高周波プレス機を行うメリットとしては、短時間で接着が可能であることです。通常の接着剤では硬化するのに24時間かかりますが、高周波接着であれば20分ほどで硬化します。そのためコスト削減に繋がります。また使用している接着剤は雨に濡れる箇所にも使用でき、耐火性能も保つことが可能です。他メーカーで使用している水溶性接着剤との差別化をしています。
(コマツ食堂棟)
耐紫外線や耐候性を保つために、CLTに使用する木材にも工夫があります。木材はスギ<ヒノキ<ヒバという順番で耐久性が強く、石川県を代表する木材であるヒバは建築資材として大変優れています。
さらに塗料で表面コートを行うことで、屋外でも長く使用することができるようになっています。現在使用している塗料は木目が潰れない半造膜タイプを使用しています。実績で3~4年間雨ざらしでも全く変わらず使用できています。こうした塗料を使うことによって、外部でも使用できる実績を積んでいます。美しい木目を活かすために、半造膜以外の塗料も使用するなど、お客様のニーズに沿った選定を行っています。
(フレーバーライフ社屋)
中東が集成材だけでなくCLTを始めたのは、お客様の選択肢を広げるためです。CLTは厚みが27cmほどまで製造できるため、構造躯体として建物を支えることができます。CLTによって、従来ではできなかった木造建築を作ることが可能になったのです。
CLTの売上は製造開始当時から比べるとすでに10倍になっています。
現在では、住宅でのCLT利用はまだまだ進んでいません。パネルに比べて重く、コストが高いためです。しかしその耐久性は比較になりません。CLTは土砂にも耐えるのではないかというほどの強度を持ち、その上耐震性能も高いことが分かっています。災害の多い日本に適した建築材と言えます。集成材とCLTは1㎥当たりのコストは同じくらいです。CLTを部分的に使用するといった提案がされていけば、おもしろいのではないかと考えています。
オリンピックのメイン会場である国立競技場でも、木を用いた意匠が注目を浴びました。国として、日本=木というイメージ戦略が進められています。
2025年の大阪万博では、オリンピック以上に木を用いたデザインが使われる見込みです。金沢市も木の文化都市を目指し、公共の場に木を取り入れた建築コンペが行われています。
生産量では外国産に遅れをとっていますが、外国産の集成材やCLTは粗く、繊細な加工はできません。日本の強みは何といっても技術力です。SDGsが追い風となり、木造建築が再注目されている中で、日本の木は一つのブランドとなり得るでしょう。
中東では、建築素材としてF☆☆☆☆を取得しています。これは、シックハウス症候群を引き起こすホルムアルデヒドの発散がほとんどない安全な資材であるということです。デザイン性だけでなく、安全性にも拘っています。
集成材・CLTは木の横面が表面に出てくるため、木の節が見えづらくなっています。そのため、節のない木材を求めるニーズにも応えることができます。また、節のある木材を使用することができるので、木材を無駄なく使用することができます。
また、集成材やCLTで作った建物は、長く木の香りを楽しむことができます。中東の社屋は木造で築10年ほど経過していますが、来社された方には「木の香りがする」と好評です。クロスの張り替えなども必要なく、むしろ時間が経てばたつほど味のある深い色味になっていきます。こうした木の味わいを楽しむことができるのもまた、木のメリットと言えます。
中東では、来年薪ストーブ用のペレット加工工場を建てる計画を立てています。木は捨てるところがありません。電気代や燃料代が高騰している社会情勢にあって、SDGsという観点からも木をフルに活用していけるよう日々取り組んでいます。
(中東本社前にて)