株式会社中東の小坂社長に聞く(前編) 集成材の今と未来
2023/02/10金森産業工業材料部
お客様の最も身近な塗料の専門家になることを目指し日々精進しております。塗料に関するアレコレ、なんでもお気軽にお問合せ下さい。
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金沢駅に聳える鼓門。
北陸新幹線の開通に伴い、すっかり北陸の顔として定着しました。
この目を見張るような美しい曲線を描く木造建築を可能としたのは、株式会社中東の集成材です。
今回は、株式会社中東の小坂勇治社長にお話を伺いました。
(本社前にて、小坂勇治社長)
株式会社中東は、石川県能美市に本社・工場を置く、耐火集成材・CLTの製造販売、建設の設計施工を行っている企業です。石川県屈指の大型工場を持ち、高い技術力で集成材・CLTの開発を行い、従来では不可能であった高い耐火性能を実現しました。
集成材は100年以上前にヨーロッパで発明され、日本に入ってきたのは昭和30年代です。中東では昭和45年から製造を開始しています。酪農の畜舎での活用からスタートしました。
日本では戦後、これまでの木造建築から鉄筋コンクリート造の建築物が作られるようになりました。木造は「燃えやすくて弱い」というイメージから敬遠されたのです。しかし世界的に見れば、大型の木造建築はどんどん建てられており、日本は取り残された状態にありました。
2000年の建築基準法の改正により、日本でも大型木造建築が建てられるようになり、集成材の需要も増えています。この20年で中東では売上は2.5倍、集成材の金額ベースでは16億円を達成しています。
2021年ごろから外国産の木材が値上がりして日本に入ってこなくなり、急激に国産材が増えてきました。円安の影響などを受け、この傾向はしばらく続くと見られます。
日本の山は急峻なため伐採が難しく、一方で外国産の木材の方が安価ということもあり、これまであまり活用されてきませんでした。日本は国土のおよそ七割が山林であり、木材資源が豊富な国です。木が一年に成長する量を10とすると、現在使用しているのは3~4しかありません。つまり、6は増えていくということになります。
こうした状況を受け、山や林道の整備、製材所などに補助金が下りるようになり、国を挙げて国産材の利用を拡大していくという流れになっています。
2021年10月に改正された公共建築物等木材利用促進法により、国の公共施設で国産材の利用が促進されていくことになりました。脱炭素やSDGsが後押しとなり、公共施設だけではなく、民間でも木材の利用が拡大しています。
(五條総合体育館)
日本の山には、戦後に造林された人工林などが本格的な利用期を迎えています。しかしこれらの木が大きくなりすぎたため、むしろ製材しにくいという状況になっています。柱として利用できるのは木の芯の部分だけなので、その周りの部分を集成材に活用することもできます。大きくなりすぎた木を板に加工して集成材として貼り合わせて活用していくことは、海外ではすでに行われていることです。
日本でも木を資源として活用することが進んで行けば、集成材の需要も増えていくと考えられます。
建築基準法では、木材の耐火性能の基準が定められています。木造ビルは3階建てまでは準耐火構造、四階建ては一時間耐火構造、5階から14階までは二時間耐火構造にしなくてはなりません。
準耐火構造では、木材を燃やした際に、周りが燃えてしまっても規定の太さで中が残れば良いという基準ですが、一時間/二時間耐火構造では更に厳しい基準となっています。1000℃の窯に入れて、それぞれ一時間/二時間燃やし続けたあと、24時間放置し、木材が自己消火しなくてはなりません。こうした試験をクリアできなければ、梁として使用することはできません。これは日本独自の基準で、非常に厳しいものとなっています。
この耐火性能をクリアするために、木にモルタルを染みこませたり、木の周囲に石膏ボードを貼っているものなど、各メーカーではさまざまな工夫をしています。
中東では独自の技術で木材に不燃材を注入し、火から守ることで、木の美しい外観を維持しながらも二時間耐火性能をクリアしています。
(住田町庁舎)
中東では、スギの集成材に取り組んでいます。
スギは日本でも手に入れやすい木材ですが、構造用木材としてはヒノキなどに比べて強度が劣るため、カーボンファイバーを用いることで強度を大幅に上げた集成材を開発しました。
建築材としてはまだ認可が下りていませんが、個別認定を受けてすでに実用化されています。コスト面などまだまだハードルは高いですが、他メーカーと協力しながらチャレンジを続けています。
中東には日本最大級のプレス機があります。21mもの長さがあり、長さ1250mm厚み2100mmの大きさを一度にプレスすることが可能です。曲線加工など、これまで通常の木材では難しい要望にも応えてきました。日本のみならず、中国など海外にも販路を広げています。
今後は製造コストを下げ、より良いものを提供できるよう生産の効率化に取り組んでいます。
(上海法華学問寺)