
塗装方法を知ろう(1)
②本立ての塗装手順と塗装材料
塗った本立てを見ると、塗る前とは比べものにならない位、価値が向上したように感じます。程良い光沢面で、手あかも付いておらず、新品らしさが感じられます。さらに、ジュースや水をこぼしても、木材に浸透することはないので、塗装により美観と保護が付与されました。
前項で説明したように、塗料に応じた塗り方と、作業手順を習得すれば、失敗は少なく、快適に塗装でき、自信がつきます。塗るということは結構、楽しい自己表現であると歴史も証明しています。
塗装技能の習得に必要なことは、次の3点です。難しくはありません。
(1) 塗装に必要な材料の特性を知ること。
(2) 掃除から始まる塗装手順、すなわち塗装工程を組み立てられること。
(3) 各工程の作業に必要な道具(器工具類)の手入れと使い方を習得すること。
塗装の基本工程は図2-7で示されます。前項の本立ての塗装はニスを最低でも2回塗っているので、下塗りと上塗りを行ったことになります。
また、本立ての塗装に使用した器工具類は図2-8のようになります。


〔質問2.4〕 塗装に必要な材料と言うと、図2-8に示すニスと、ニスのうすめ液であるシンナーでしたが、他にはどんなものがありますか。
〔回答2.4〕 木製本立ての素地は木材ですから、塗装の透明仕上げ工程を例にあげて、必要な材料を取り上げてみましょう。
図2-9には、速乾性ニスである硝化綿ラッカーを使用した着色透明仕上げの見本板を示します。前項の本立ての塗装に比べて作業工程数が多いことにびっくりするでしょう。いわゆる、プロとアマチュアのできばえが工程数の差によるものだと思ってください。

木工塗装全般に使用する材料は、着色材料(着色剤・目止め剤)と塗料(色押さえ・下塗り・中塗り・上塗り)です。場合によっては、素地である木地色を近づけたり、着色効果を上げるために素地調整の段階で漂白をしたり、高光沢面にするために上塗り乾燥後に磨きを行うことがあります。その場合にそれぞれ、漂白剤、磨き用コンパウンドが必要です。図2-10~2-12には、木工塗装に使用する塗装材料を示します。この中で、木工塗装に特有なものは、漂白剤と素地用着色剤です。後者には、染料系ステイン、顔料系ステイン、並びに水性、油絵の具のような目止め剤(着色顔料と体質顔料を混合したもの)があります。
〔質問2.3〕 図2-9に示されている塗装材料で色押さえのビニルシーラー、補色用塗料、上塗りに使用されている“ラッカーフラット半つや”とはどんなものですか。
〔回答2.5〕 塗料は被膜になる材料で、被膜になったらチョコとクッキーの2種類しかありません。両者の違いは第1章の1.6で説明しています。
(1)ビニルシーラー:素地着色に使用したアルコールステインが次工程の目止め着色、さらにその上に塗られる塗料(下塗り-上塗り)によって、にじみ出ないようにビニル樹脂被膜がガードします。色押さえ用シーラーとも言います。
(2)補色用塗料:ラッカークリヤ(硝化綿ラッカーの透明塗料)に染料溶液を混合した塗料で被膜は色つきセロファンのように透明です。上塗り前に全体の色調を調節します。
(3)ラッカーフラットとは、つや消し剤の入ったラッカー(硝化綿ラッカー)で、つや消し剤の充てん量によって、3分(ぶ)、5分、7分つやと呼びます。そして、この順番に光沢感が大きくなります。半つやとは5分つやを意味します。なお、つやの程度は塗料メーカの仕様に従っており、統一された基準はありません。

ラッカーとは、迅速を意味し、塗装後30分程度で乾き、次工程に進むことのできる塗料です。代表的ラッカーには、硝化綿(ニトロセルロース)とアクリル樹脂を主体とするクリヤとエナメル(有色塗料)塗料があります。


〔引用・参考文献〕*2章通し番号
1) 坪田実:“ココからはじめる塗装”, 日刊工業新聞社, p.8-27 (2010)