
塗装方法を知ろう (1)
① はけで木製本立てを塗ってみよう(1)
小、中学生の頃を思い出してみましょう。木材で本立てを作り、最後の工程である塗装に来たら、手あかを取ったり、木目を意識せず、気ままにサンドペーパをかけ、ニスをべったり塗った記憶があります。塗る順序も考えず、全面を塗ってから、さあ、どこに置いたら良いかで大いに困ったことがありました。
はけの持ち方も先生から指導があったはずなのに、皆、勝手に持って塗るものだから、柄の部分にはニスが付いており、塗り終わったとき、手はべたべたになったと記憶しています。これで、ニス塗りは嫌だと思った者が結構いたのではないでしょうか。
一方、塗ることが好きで、何回も塗り込んでいる者もいました。確かに、何回も塗れば、塗り残しが無くなり、ピカピカに光るので得意げになっている者、角部でたれが生じてしょげている者もいました。

Key pointを質疑応答で整理してゆきます。
〔質問2.1〕 まず、塗る順序と、塗り終わったときに、どのようにしたら、うまく乾燥させることが できるかを教えてください。
〔回答2.1〕 注目することは、まず、図2-1の本立ての背板(せいた)部を手で持つことができるので、ここは最後に塗ることにしましょう。次に、底部は直接目に触れないからこの面が下になるように乾燥させましょう。この時、生け花の剣山のような支持点(3点)を付けた置台(図2-1の④)をあらかじめ作っておき、①→④(図2-1)に示す順序で塗って行けばスムーズに作業できると思います。
〔質問2.2〕 はけの正しい持ち方と塗料の含ませ方、運行の仕方を教えてください。
〔回答2.2〕 図2-2に示すように、鉛筆を持つように、しっかりと保持してください。次に、塗料の含ませ方ですが、図2-3のように塗料容器にの部分の半分程度を浸せきさせ、容器の壁で毛先を軽く叩くか、しごいてください。

次に、はけの運行で注意することをまとめます。
(1)の塗り方(図2-4参照)
図2-4①のように、はけの毛先を側板の端部に接触させると底板の裏面には塗料がしごき出されて、タレが生じます。良い塗り方は図②のように、端部の手前から軽くタッチし、端部からはみ出さないようにターンして終点(他方の端部)で飛行するようにはけを動かしてください。
ニスは速乾性なので、ひとはけごとに一方向で仕上げてください。
(2)立面の塗り方
図③のようにまず、はけを下から上に向かって動かすと、塗料はかすれてきますので、次に上から下に向かって運びます。初めに、上から下に運ぶと、塗料がたれてくるので、立面の塗り順序は下から上です。
(3)底板の塗り方(図2-5参照)
(イ) 図①のように、入隅部に塗料をためないように、入隅の手前10mm位にはけを軽くタッチします。
(ロ) 図②のように、はけを立て、毛先を入隅に届かせます。
(ハ) 図③のように、真っすぐに引いて他方の入隅の手前10mm位の所で止めます。
(ニ) 反対側の入隅部で図①→②を行います。この操作を返しばけ(図2-5上部参照)と呼びます。

〔質問 2.3〕 本立てに使用した塗料はニスと説明されましたが、どのような塗
料ですか。わかりやすく教えてください。
〔回答 2.3〕 透明塗料です。速乾性とゆっくり乾く遅乾性タイプがあり、いず
れもワニスと呼びます。ワニスよりもニスの方が呼びやすいので、ニスが通
称名になったようです。ここで紹介したニスは、硝化綿ラッカークリヤで、
30 分位経てば、また、背板を持って、塗ることができます。
速乾性ニスの場合、同じ場所を何回もニスを含んだ毛先が通過すると、塗
られたニスはネバネバになって、はけ目が残ったり、毛が抜けて、塗装面に
くっつきます。それゆえ、ひとはけで仕上げるようにします。その要領を 図
2-6 に示します。

〔引用・参考文献〕*2章通し番号
坪田実:“ココからはじめる塗装”, 日刊工業新聞社, p.8-27 (2010)